海上からの放射性廃棄物の海洋投棄は、国際条約である「ロンドン条約」で禁止されています。また、日本の「原子炉等規制法」でも認められていません。(出典:東京電力)
福島第一原子力発電所を含む、国内外の原子力関連施設からの排水は、ロンドン条約違反にはあたりません。「ロンドン条約」は、海洋汚染の原因の一つである廃棄物等の海洋投棄を国際的に規制するための締約国がとるべき措置について定めたものです。同条約では、適用対象を「投棄」に限定し、「投棄」を「海洋において廃棄物等を船舶等から故意に処分すること及び海洋において船舶等を故意に処分すること」と定義しています。これは、「陸上からの排出は禁止していない」と解され、福島第一原子力発電所を含む、国内外の原子力関連施設からの排水は、ロンドン条約違反にはあたりません。(出典:東京電力)
関係法令を遵守して放出を行います。「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、原子力規制委員会が定めた「東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則」では、「排水施設において、ろ過、蒸発、イオン交換樹脂法等による吸着、放射能の時間による減衰、多量の水による希釈等の方法によって排水中の放射性物質の濃度をできるだけ低下させること。この場合、排水口又は排水監視設備において排水中の放射性物質の濃度が原子力規制委員会の定める濃度限度を超えないようにすること。」と定められています。
ALPS処理水の海洋放出にあたっては、海水による希釈を行う前の段階で、トリチウム以外の放射性物質について、環境に放出する際の濃度基準を満たすまで浄化処理を行い、ALPS処理後も濃度基準を超えて残るトリチウムについては、濃度基準を十分満たすように大量の海水で希釈を行うこととしており、この方法については原子力規制委員会の認可を得ています。
なお、通常の原子力発電所で発生した放射性液体廃棄物の放出に際しても、排水施設のサンプルタンク等において放射性物質濃度の測定を行い、放射性物質の濃度が排水時の濃度基準を超えないよう海水と混合、希釈した上で放出しています。
また、「水質汚濁防止法」では、工場や事業場から排出される水質汚濁物質について、水質や有害物質の種類ごとに排水時の濃度基準が定められており、この基準を守ることが求められています。ALPS処理水の希釈・放出も、水質汚濁防止法における排水基準を遵守して行うことになります。(出典:東京電力)