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 日本大使「韓国政府・国民のコロナ19防疫努力に敬意」


2020年4月9日付【聯合ニュース】
冨田浩司・駐大韓民国日本国特命全権大使インタビュー  


  冨田浩司駐韓日本大使は8日,聯合ニュースと行ったインタビューで韓国政府の新型コロナウイルス感染症(コロナ19)対応努力を高く評価するとし「韓国で生活する者として感謝している」と述べた。
  冨田大使はまた,「韓国政府だけでなく,自治体,国民の皆さんが多くの努力をしていることに対し,本当に大きな敬意を表する」と強調した。
  続けてコロナ19対応のために日本と韓国の両国間の協力が必須であるとし「協力促進のために努力する」とも述べた。冨田大使が韓国メディアとインタビューをしたのは,昨年12月の赴任以来初めてだ。
  冨田大使は駐韓大使として備えるべき資質として「楽観主義」と「忍耐」を挙げ「2つの要素を心に留めながら今後任務に最善を尽くす」と誓った。今回のインタビューは,ソウル城北区城北洞の大使公邸で行われた。冨田大使は,韓国政府の社会的距離置き運動に参加するべく1週間に2日間ほどは公邸で在宅勤務をする。インタビューの前に「両国間の長い歴史と交流の象徴」とし,公邸に展示された日本の陶磁器名家,沈壽官家の14代沈壽官氏が作った陶磁器を紹介した。

  次は冨田大使との一問一答。

  (問)赴任4か月が過ぎた。赴任の所感と駐韓大使として最も優先順位を置いて推進したいことがあれば紹介してほしい。

  (答)4月で外交官人生が40年になる。外交は相手国に対して敬意を持つことから始まると思う。韓国で勤務するのが2回目だ。最初の勤務を通じて,韓国に対する深い敬意を持つようになり,この国で再び働くことができて大変幸せだ。韓国は日本にとって最も重要な隣国だ。多様な懸案の解決と中長期的な相互理解の促進等の2つの面で,両国の橋渡しの役割をしたい。今,日本と韓国両国が直面している最大の課題は,言うまでもなくコロナ19を克服することだ。韓国は最初,大邱(テグ)で大きなクラスターが発生して大変苦労したが,官民を挙げて積極的な対応を通じて事態をうまく管理していると高く評価する。日韓両国はそれぞれの努力に加え隣国として,また国際社会のリーダーとして感染症克服のための協力を強化することを期待されており,(協力は)必須だと考える。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が3.1節の記念演説で,両国が協力しつつ危機に打ち克とうと強調した。日本もこのような文大統領の気持ちを共有し,協力促進のために努力する。コロナ19のため,大使として活動する上で大きな制約を受けており残念である。私は,駐韓大使として2つの最も重要な資質が必要だと考える。楽観主義と忍耐だ。2つの要素を心に留めつつ,今後の任務に最善を尽くす。

  (問)韓日間でコロナ19と関連した協力が表向きに見えることはほとんどないようだ。韓日間でコロナ19防疫と関連して協力している具体的な内容を紹介してほしい。

  (答)両国間の協力はすでに具体的な成果を上げている。まず,国外からの自国民退避に対する協力である。マダガスカルとケニア,フィリピンにおいて自国民を退避させるために,韓国が主導して手配したチャーター機に日本人も搭乗した。コロナ19が全世界に拡散する中,第3国で日韓協力が行われているというのが心強い。2つ目は経済協力だ。慶尚北道亀尾(クミ)にある日系企業の東レ尖端素材は,韓国政府の要請を踏まえ3月末からマスクの原材料である素材の生産ラインを設立し,1日にマスク650万枚にあたる13トンの素材を生産している。日系企業が韓国で感染対策に寄与していることを誇りに思う。生産された素材は基本的に韓国で消費されるマスクに使われると承知している。日本に輸出しているものではない。

  (問)韓国政府は経済的影響を最小化するため,経済人に対しては例外的入国を許容しようという立場である。これに対する日本政府の立場は何か。

  (答)コロナ19による経済的影響を最小化したいという心はどの国も同じで,日本もそのような心を共有している。しかし,目を向けると,全世界で感染拡散が加速化している。各国の優先的な課題は感染症拡大防止,感染者の重症化の阻止である。感染拡大防止対策として入国制限をいかなる形式であれ緩和すれば,いくつかの困難が伴うだろう。そのため,韓国政府が提案した(企業家の例外入国)部分は,感染拡大の動きを見ながら検討すべきだと考える。

  (問)日本企業も韓国訪問の需要があるはずだが。

  (答)現在,多くの企業が多くの不都合を感じていることは事実だろう。しかし,現在各国が水際対策をする範囲内でできることをしようというのが日本企業の態度だと考えている。

  (問)日本が今年3月9日,韓国人に対して無査証入国禁止の措置を取った際,事前に韓国に通報しなかったため,韓国政府が不快感を露わにしたこともあった。当時の状況について説明してほしい。

  (答)3月9日に強化された措置が中国と韓国に導入されたのは,その時点の感染状況と(当該2か国から)日本に行く人が多いという点が考慮された。その後,韓国に取ったのと同等の措置が欧州と米国を含む全世界の多くの国に適用された。全体的に見ると,韓国に対する措置は防疫上の必要によるものであり,その他の外交的意図に基づくものではないという点は理解してほしい。このような事項は様々な形で韓国政府に伝えている。当時の措置をめぐる外交的やり取りについてここで具体的に言及することは適切ではなく,生産的でもないと考える。現在は非常時であり,非常時には外交的な意思疎通もある程度制約を受けるざるを得ないと考える。韓国との意思疎通に最善を尽くしてきたし,これからも最善を尽くしたい。

  (問)コロナ19の状況が終息すれば,韓日間の人的交流が過去の水準に回復すると見るか。

  (答)両国は様々な困難に直面しながらも,半世紀以上にわたって交流を着実に発展させてきた。コロナ19は人的交流が短期間で急激に減少したという点で最大の危機と言える。しかし,この危機は,時期が来れば終息できると考え,終息すれば両国間の交流を再び拡大の軌道に乗せられると信じて疑わない。ただ,そのためには多くの努力をしなければならない。

  (問)韓国と日本のコロナの対応方法が異なる。韓国は積極的に検査するが,日本は相対的に重症者だけを検査する方式のようだ。韓国と日本のコロナ19への対応について評価してほしい。

  (答)韓国の場合,初期に大邱でクラスターがあったため積極的な検査と追跡が必要だったと思う。日本は初期に大きなクラスターがなかった。むしろ,検査のために多くの人が病院へ行けば,院内感染しかねないというリスクを考慮しなければならなかった。しかし昨日,安倍総理も日本でも感染者が増える部分を考慮し,今後は積極的な検査を行うべきだという方針を明らかにしたところだ。韓国は短期間で先進的で優れた防疫システムを構築したと,世界から認められている。徹底的かつ積極的な検査は,WHO(世界保健機関)や世界の多くの国から多大なる称賛を受け,日本の報道を見てもドライブスルーのような先進的な取組みを毎日のように紹介している。特別入国手続の導入や感染者の感染経路情報公開などの方法も,各国が学ぶべき感染拡大防止の方法である。韓国政府のみならず,自治体,国民の皆さんが多大な努力を傾けていることに大変敬意を表し,実際に韓国で生活している者として感謝している。

  (問)金融市場の流動性が高まり,韓日間の通貨スワップ締結が必要だという指摘も出ている。日本も通貨スワップ締結の必要性を感じているか。

  (答)通貨スワップについては締結のための協議が中断された状況だ。現時点では,韓国政府が日本政府に対して協議を再開しようとする要請が来たことはない。(必要性は感じているか。)この問題を検討するためには,日韓間の協議が必要だ。

  (問)強制徴用問題が難題だ。構想している解決法があれば紹介してほしい。

  (答)韓国の総選挙を1週間後に控えている。このようなタイミングで個別懸案について語ることは適切ではない。昨年12月,中国・成都であった日韓首脳間の合意をもとに,韓国政府と懸案の解決に向けて共に努力していく。外交当局間のカウンターパートと電話やテレビ等で引き続き協議を進めている。

  (問)強制徴用問題は解決策を見い出せていないが,差し押さえられた日本企業の資産売却は時間の問題とみられる。資産の売却が現実化すれば,日本政府はどのように対応する考えか。

  (答)まさにそのような事態を避けるため,早期に問題を解決しなければならないということに首脳が合意したところである。首脳間の合意に従って努力する。

  (問)日本の韓国に対する輸出規制問題も遅々として進んでいない。日本が消極的で,一部では強制徴用問題と結びつけようとしているのではないかという指摘も出ているが,どうなのか。

  (答)この問題も現時点で深く踏み込むのは適切ではない。輸出管理問題は当局間で現在対話が進んでいる。様々なレベルで公式・非公式の形で相当な回数の対話を行っている。日本としては,韓国政府が抱く懸念に真摯に対応しながら対話している。解決策を見い出せれば良い。

  (問)このような多くの難題で韓日関係が良くないが,コロナ19対応のために韓日が協力するなら,再び近くなれる機会になり得るようにみえる。首脳間の通話や外交長官間の通話が推進されているのか。建議するつもりはないか。

  (答)必要に応じて電話会談等を通じて意思疎通をする考えがある。最近は,韓日中3か国の外相会談を開き,G20首脳会談でも韓国と共に議論した。日本としては意思疎通を避けるつもりは全くない。機会があればやるつもりだ。

  (問)文在寅政権は,対北朝鮮制裁の枠組みの中で,南北交流を積極的に推進するという立場だ。日本政府の考えはどうか。

  (答)重要なことは,2018年6月の米朝首脳会談共同声明にあるように,朝鮮半島の完全な非核化に向けた両首脳の合意が完全かつ迅速に履行されることだ。引き続き米朝プロセスを支持する。北朝鮮の非核化のための安保理決議の完全な履行が重要だという部分にも変わりはない。日韓,日米韓の緊密な連携を続けていきたい。韓国政府が推進する南北交流に対しては,韓国政府と緊密な意思疎通を通じて理解を深めていく。

  (問)福島原発の汚染水を海に放流するという話に韓国国民の憂慮が大きい。海に放流しても安全か。憂慮解消のためにどのような努力をするのか。

  (答)まず原発の汚染水ではない。処理水である。処理水の取扱いについては今年2月に専門家委員会の報告書が作成された。処理水の処分方法に対する現実的な選択肢として,海洋放出と水蒸気放出等の2つが提案された。日本政府はこの2つの提案を受け,引き続き検討している。現時点で処理の具体的な方法は決まっていない。どのような方法であれ,処理水を処分する際には再浄化をして放射性物質をさらに除去し,その後さらに希釈して排出基準を満たすのが大前提だ。排出基準を満たす以上海洋汚染は起きない。韓国等の周辺国の不安を解消するための方法の一つとして,国際原子力機関(IAEA)との緊密な意思疎通を行うことだ。IAEA事務局長が2月に訪日し,福島第1原発を視察し,専門家委員会の報告書についてもレビューした。日本政府は,透明性をもって十分な情報を提供してきており今後も継続してこのような努力をしていく考えだ。


記者:イ・ジョンジン記者