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令和3年1月23日  


 1 元慰安婦等が日本国政府に対して提起した訴訟において、本年1月8日、ソウル中央地方裁判所が、国際法上の主権免除の原則の適用を否定し、日本国政府に対し、原告への損害賠償の支払等を命じる判決を出し、本23日、同判決が確定しました。

 2 国際法上、国家は主権を有し、互いに対等な存在であることから、原則として、外国の裁判権に服することはありません。日本としては、この国際法上の主権免除の原則から、日本国政府が韓国の裁判権に服することは認められず、本件訴訟は却下されなければならないとの立場を累次にわたり表明してきました。今般、ソウル中央地方裁判所が、主権免除の原則の適用を否定する判決を出したことは、国際司法裁判所判決でも示されている国際法に明らかに反するものです。

 3 慰安婦問題を含め、日韓間の財産・請求権の問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決」されており、いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めており、この協定は、これまでの日韓関係の基礎となってきました。

 4 また、2015年12月の日韓外相会談における合意によって、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」が確認されています。日本国政府は、この合意の下で約束した措置を全て実施してきています。大韓民国政府もこの合意が両国政府の公式合意と認めているものであり、国際社会が韓国による合意の実施を注視している状況です。

 5 この判決は、国際法及び日韓両国間の合意に明らかに反するものであり、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできません。

 6 日本としては、韓国に対し、国家として自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講ずることを改めて強く求めます。

 [参考1]「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」(1965年12月18日発効)
 第二条
 1 両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
 (中略)
 3 2の規定に従うことを条件として,一方の締約国及びその国民の財産,権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては,いかなる主張もすることができないものとする。

 [参考2]2015年12月28日の慰安婦問題に関する日韓合意
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001667.htmlblank

 [参考3]慰安婦問題についての我が国の取組
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000472256.pdfpdf