大使館コラム



 冨田大使新年御挨拶

冨田大使新年御挨拶


 新年明けましておめでとうございます。 皆様健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 さて昨年を振り返りますと、言うまでもなく世界が新型コロナウイルス感染症に翻弄された一年でありました。依然として社会生活や経済はその影響から抜け出せていません。日韓関係もまたその例外ではなく、新型コロナウイルスによって、かつて活発であった人的往来や文化・青少年交流は大きな制約を受けることとなりました。

 しかしそのような中でも、「日韓交流おまつり」を始めとする日韓文化交流行事を形は変えながらも継続して実施できたことは、ポスト・コロナに向けた新たな飛躍の第一歩となるでしょう。また日本では、『愛の不時着』、『梨泰院クラス』などの韓国ドラマや、BTSなど韓流への関心が高まるとともに、NiziU、IZ*ONEなど日韓合同グループも活躍しているところです。これは日韓の民間交流の力強さを物語るものであり、大変心強く思います。

 また私も、時間の合間を縫って地方にも足を運ぶように努めました。春川ではマッククスを、浦項ではムルフェを食べるなど、現地の風土にも触れながら、経済・学術関係者を始めとする各界の方々にお会いし、日韓両国間の多方面にわたる交流の重要性について認識を共にし、東京とソウルだけではない、日韓関係の裾野の広さと深さを実感しました。

 一方で、日韓間には様々な課題があります。日韓両国は戦後、決して平坦ではない道程の中においても数多くの課題を地道に一つ一つ克服しながら、その関係を飛躍的に発展させてきました。その経緯にも鑑み、丑年である新年に臨むにあたり、改めて「楽観主義と忍耐」をもって課題の解決に取り組まなければならないとの思いを新たにしているところです。

 特に本年は、昨年延期された東京オリンピック・パラリンピック競技大会が予定されています。人類がコロナを克服した証として東京オリンピック・パラリンピックが開催され、このアジアでのスポーツの祭典を契機に、日韓両国の交流が益々活発になることを期待しています。また経済面においても、昨年合意された地域的な包括的経済連携(RCEP)協定により日韓の経済関係はさらに深化していくことでしょう。

 当大使館としましても、邦人保護や日本企業支援に取り組んでいくとともに、日韓関係改善のために引き続き一層の努力をして参ります。 改めて皆様の御指導、御協力を賜れますと幸甚です。

 皆様にとって本年が実り多き一年となりますことをお祈り申し上げ、新年の御挨拶とさせていただきます。


駐大韓民国 日本国特命全権大使  
冨田浩司