相星大使新年御挨拶

令和4年1月4日

相星大使新年御挨拶(2022年)

 

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

昨年2月に韓国に着任し、間もなく一年が経過しようとしています。昨年を振り返りますと、残念ながら、新型コロナウイルス感染症により、外交活動や日常生活、そして日韓間の往来など、あらゆる面で制約を受ける一年となりました。また、日韓両国間の懸案により、日韓関係は、非常に厳しい状況が続いています。しかし、そのような中でも日韓の文化・経済交流が根強く続いていることを実感した一年でもありました。

日韓両国にとって最大の文化交流行事である「日韓交流おまつり」は、一昨年に続き、オンラインでの開催となりました。多くの交流行事が中止や延期を余儀なくされる中でも成功裏に開催され、「どんな悪天候であっても常に進むべき方向を教えてくれる灯台のような日韓友好のシンボル」という「おまつり」の精神を示してくれました。

日韓両国を代表する経済人が一堂に会する日韓経済人会議も、オンライン形式を交えての開催となりましたが、多くの関係者が参加されました。「日韓、ともに創造する未来」というテーマの下、両国の未来について忌憚のない意見が交わされ、コロナ禍の中でも、日韓の経済人間の強い絆を実感しました。

また、昨年は、東日本大震災から10年を迎え、当館において、当時の韓国による支援に感謝の意を伝えるとともに、被災地の復興状況をPRするための式典を開催しました。東京電力福島第一原発事故に関しては、多核種除去設備等(ALPS)処理水の処分に際して、日本政府の基本方針の下、韓国を含む周辺国に影響が及ぶものでないことを引き続き科学的根拠に基づき透明性をもって丁寧に説明していく考えです。

私自身の昨年の活動について振り返りますと、防疫上の制約を受ける中ではありましたが、韓国の地方都市を訪問する機会がありました。6月に会議出席のために訪れた済州では、地元の経済関係者の皆様から済州の経済事情や済州における日本との経済・文化交流の現状についてもお話をお伺いすることができました。さらに、10月には公州で武寧王陵や国立公州博物館、12月には慶尚北道の浦項で九龍浦やポスコ製鉄所、亀尾で東レ、AGCの工場等を視察させていただきました。これらの出張を通じて、日本と朝鮮半島の長く、深い交流の歴史を改めて実感した次第です。

新型コロナウイルス感染症の状況が一日も早く落ち着き、日韓の人的交流が早期に回復すること、そして、皆様にとって本年が実り多き一年となりますことをお祈り申し上げ、新年の御挨拶とさせていただきます。

 

駐大韓民国 日本国特命全権大使

相星孝一