東京電力福島第一原発事故に関するQ&A

2021年8月更新

東京電力福島第一原子力発電所の原発事故後の現状について、正しい情報を知っていただくため、よく聞かれる質問とその答えをQ&A形式でまとめました。食品の安全と放射能の影響については、韓国語のパンフレットもありますので消費者庁のホームページ(日本語・英語・韓国語版あり)を御覧ください。

目次
東京電力福島第一原発ALPS処理水
1. 海洋への影響に関する疑問
Q1 ALPS処理水を海洋に放出すれば、深刻な環境汚染が起こるのではないか。
Q2 三重水素(トリチウム)とは何か?
Q3 韓国の近隣国の中で、海洋に三重水素を大量に放出しようと計画しているのは日本だけではないか。
Q4 日本が、ALPS処理水を海洋に放出した場合、韓国付近の海域にも被害が及ぶのではないか。
Q5 東京電力福島第一原発から放出された三重水素を含む海流が朝鮮半島に到達するのはいつか。
Q6 海洋放出に際して、どのような環境モニタリングが実施されるのか。
2. 意思決定プロセスへの疑問
Q7 日本政府は他の処分方法を十分に検討せず、経済性を理由に海洋放出を選択したのではないか。
Q8 日本は、ALPS処理水の処分方法に関して、韓国と、十分に意思の疎通を図ってこなかったのではないか。
Q9 日本政府は、韓国政府と協議をしておらず、質問にも十分に答えていないのではないか。
Q10 韓国は、日本から海洋放出の状況について情報提供を得られるのか。
Q11 国際原子力機関(IAEA)による海洋放出の安全性確保の取組に韓国の専門家は参加できるのか?
Q12 国際社会は海洋放出に反対しているのではないか。
3. 処理技術への疑問
Q13 ALPS処理水には、三重水素以外にも通常炉の排水からは検出されない核種(セシウム、ストロンチウム等)や、ALPSでは除去できない炭素14が含まれるため、危険ではないのか。特別な扱いとすべきではないか。
Q14 ALPSで処理したと言っても、そのタンクに貯蔵される7割は高濃度汚染水であり、未だ再浄化されていない。ALPSには十分な処理能力がないのではないか。
4.食品安全に関する疑問
Q15 日本政府は人が食べ物を摂取したことで、間接的にトリチウムに被ばくするリスクを評価したことがあるか。
Q16 今後は食品に対し、セシウム以外の核種(トリチウムを含めて)の既存規制を修正、あるいは新たに法規制を定めることで、安全基準を設ける計画があるのか。
Q17 日本政府には、福島第一原子力発電所周辺海域の水産動物に対するトリチウムによる影響に関する研究報告或いはモニタリング資料はあるか。
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた対応
Q1 東京電力福島第一原発事故後の経過及び対策を教えてほしい。
Q2 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の状況が知りたい。
Q3 東京電力福島第一原発事故後の発電所から汚染水が流出していて、海が汚染されているのではないか?
日本への渡航
Q1 東京電力福島第一原発事故の影響で、日本への旅行は危険ではないか?
Q2 空間線量率とは何か?
Q3 在韓国日本大使館がホームページに掲載している空間線量率は、日本政府にとって都合の良い数値となる地点のデータに限定しているのではないか?
Q4 日本国内において、放射性物質による健康被害の危険性がある区域はどこなのか?
Q5 日本政府は、空間線量率等が低いから安全だというが、低い場所でのみ測定しているのではないか?
Q6 空間線量率のデータは、大気中に現れる放射線のみ測定するものであるが、食品安全にも直結する土壌の安全性についてはどのように確かめているか?
Q7 「東京電力福島第一原発事故後、放射性物質の影響による死亡者やがん患者の発生数は把握さえ不可能な状況」、「東京電力福島第一原発事故により1300人以上が死亡」、「福島県では、チェルノブイリ原発事故と同じように小児甲状腺がんの発生率が非常に高い」などという話を聞いたが、本当か?
食品の安全
Q1 食品の安全のためにどのような取組を行っているのか?
Q2 日本の食品で基準値を超えるものはなかったのか?
Q3 国際機関は、日本の食品の安全性をどう評価しているのか?
Q4 諸外国は日本の食品を輸入しているのか?
Q5 日本から輸入された食品から人工の放射性核種が検出されたと聞いたが、やはり危険ではないか?
Q6 韓国の日本産水産物等への輸入規制は、2019年4月にWTO上級委員会報告書でも認められたものであり、日本が韓国に輸入規制撤廃を求めるのは不適切ではないか?
もっと詳しく説明を読みたい人のために

Q1 ALPS処理水を海洋に放出すれば、深刻な環境汚染が起こるのではないか。

(答)

ALPS処理水の海洋放出にあたっては、海洋汚染が生じることがないよう万全を期します。


まず、ALPS処理水は、海洋に放出する前に、三重水素以外の放射性物質が環境排出基準を下回る濃度まで浄化処理を行います。再浄化した際に、ストロンチウム、セシウムなどの放射性物質は取り除かれることから、実際に放出される放射線物質の濃度が低減するだけではなく、三重水素以外の放射性物質の総量も大幅に減少することとなります。その上で、ALPS等では除去できない三重水素については、排出基準を大幅に下回るよう100倍以上に希釈した上で放出します。

また、関連する国際法や国際慣行を踏まえ、海洋環境に及ぼす潜在的な影響について評価するための更なる措置を適切に採るとともに、放出後にも、これまで実施してきた国際原子力機関(IAEA)との協力や海域モニタリングを継続的に実施し環境中の状況を把握するための措置を講じることとします。


実際に放出する三重水素の年間の総量は、事故前の東京電力福島第一原発の放出管理値(年間22兆ベクレル)※1を下回る水準で実施し、定期的に見直すこととします。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の手法を用いて放射線影響の評価を行った結果、タンクに貯蔵されているALPS処理水の処分を、年間22兆ベクレルの三重水素放出量に沿って毎年継続したとしても、海洋放出の影響は、自然放射線による影響(2.1mSv/年)の10万分の1以下になります。

※1 原子力発電所ごとに設定された通常運転時の目安となる値(規制基準値を大幅に下回る値)。


さらに、これまで行っている放射線環境モニタリング等について、海洋放出の実施開始後も、継続的に実施し、国際原子力機関(IAEA)によるレビュー(確認・評価)も実施する予定です。

Q2 三重水素(トリチウム)とは何か?

(答)

三重水素(トリチウム:3H)は水素の同位体で、弱い放射線を放出する物質です。三重水素は、水の分子の一部として、雨水、海水、水道水など、自然界や我々の生活圏にも、元来広く存在しているものです。三重水素は、飲料水などを通じて私たちの体内にも取り込まれ、排泄され、自然界を循環しています。三重水素を含む水分子は、放射性があること等を除けば、通常の水分子と同じ性質を持つため、有機水銀やダイオキシンのように、特定の生物や臓器に濃縮されることはありません。


三重水素は、韓国を含む世界の原子力発電所などから、これまで40年間以上にわたって、運転基準を順守して海水や大気に排出されています。世界の原子力発電所近郊において、三重水素が原因と思われる周辺住民の健康への影響は確認されていません。

Q3 韓国の近隣国の中で、海洋に三重水素を大量に放出しようと計画しているのは日本だけではないか。

(答)

世界各国の原子力発電施設や再処理施設は、各国の規制基準を満たした上で、三重水素を海洋に放出しています。このような三重水素の海洋放出は、確立された国際的な慣行です。


今回発表された基本方針では東京電力福島第一原発からは三重水素の年間放出量は22兆ベクレルを下回る水準とするよう求めています。なお、韓国の原発からは、2019年に約205兆ベクレル※1が放出されています。

※1出典:韓国水力原子力株式会社「原子力発電所周辺環境放射能調査及び評価報告書(2019年度)」


さらに、日本、韓国以外では、例えば、中国の原発からは、年間833兆ベクレルの三重水素※1が海洋に放出されています。これは、2021年4月時点で東京電力福島第一原発のタンクに貯蔵されている三重水素※2の総量を上回ります。

※1出典:中国核能年鑑2019年巻(中国核能行業協会編)(2018年環境監測結果)

※2約780兆ベクレル(2021年4月時点)


中国の沿岸は、韓国とも近く、付近の海流が概ね朝鮮半島の方角を向いており(※1)、海洋環境変化が起こったとすれば、福島沖での変化よりも直接的に、韓国に影響を与えると考えられますが、実際にはこれまで顕著な影響はないものとみられます。


※1韓国立法調査処「福島原発汚染水の海洋放出の影響及び対応方策」(2021年5月3日)図1参照(こちらのサイトから報告書をご覧できます


その根拠として、韓国原子力安全技術院(※2)が韓国周辺海域を継続的にモニタリングしている結果に基づけば、海水中において、三重水素濃度の顕著な上昇は確認されていないことがあげられます。

※2韓国原子力安全技術院「海洋環境放射能調査2019年」22ページ参照こちらのサイトから報告書をご覧できます

韓国原子力安全技術院著作権ポリシー

Q4 日本が、ALPS処理水を海洋に放出した場合、韓国付近の海域にも被害が及ぶのではないか。

(答)

ALPS処理水の海洋放出にあたっては、日本国外を含め、人の健康や環境に被害を生じさせるような措置は決してしません。


ALPS処理水は、環境中に放出する前に、三重水素以外の放射性物質が環境排出基準を下回る濃度まで浄化処理を行い、更に100倍以上に希釈することとしているため、全ての放射性物質について、海洋放出時には十分に濃度が低い状態になります。さらに、放出された処理水は、放出後即座に拡散するため、その濃度は、放出当時の値より相当低いものとなります。


東京電力が、ALPS処理水を海洋に放出したと仮定してシミュレーションを行ったところ、年間平均で、発電所近傍、1.5km程度に限り放射能濃度の上昇が見られるものの、濃度が上昇する地点においても、WHO飲料水基準(10,000ベクレル/ℓ)と比べて1,000~10,000分の1程度の濃度であり、十分に影響が小さいことが分かっています。


また、関連する国際法や国際慣行を踏まえ、海洋環境に及ぼす潜在的な影響について評価するための更なる措置を適切に採るとともに、放出後にも、これまで実施してきた国際原子力機関(IAEA)との協力や海域モニタリングを継続的に実施し環境中の状況を把握するための措置を講じることとします。

なお、2013年に東京電力福島第一原発から汚染水が流出した際には、韓国原子力安全技術院(KINS)は一般国民向けの解説ページにおいて、韓国近海の放射線量を継続的に測定した上で、「東太平洋方向に進行する日本の東北海域の海流の特性によって、国内海域には影響が微々たるもの」と評価していると承知しています(※)。

韓国原子力安全技術院のサイト

韓国原子力安全技術院著作権ポリシー

Q5 東京電力福島第一原発から放出された三重水素を含む海流が朝鮮半島に到達するのはいつか。

(答)

韓国原子力研究院のモデリングによれば、福島沖の海水が朝鮮半島に到達する時期は4~5年後と推計されているようです。


ただし、そもそも東京電力福島第一原発から、今回放出量の上限としている年間22兆ベクレルの三重水素を海洋に放出したとしても、自然発生量(バックグラウンドレベル)を超えて三重水素による放射能濃度が上昇する海域は、原発近傍、1.5km程度に限られることがシミュレーションで明らかになっております。


その上で万全を期すために、海域モニタリングで異常値が検出された場合には、東京電力にて直ちに一旦放出を停止するとともに、その状況を調査します。

Q6 海洋放出に際して、どのような環境モニタリングが実施されるのか。

(答)

日本政府及び東京電力は、放出前及び放出後におけるモニタリングを拡充強化します。その際、

(1)IAEAの協力を得て、分析機関間の相互比較を行うなどにより、分析能力の信頼性を確保すること

(2)東京電力が実施するモニタリングのための試料採取、検査等に農林水産業者等が参加すること

(3)海洋環境の専門家等による新たな会議を立ち上げ、海域モニタリングの実施状況について確認・助言を行うこと等により、客観性・透明性を最大限高めることとしています。


今後、日本政府としては、ALPS処理水の海洋放出に際して、韓国の皆様の不安を払拭し、安心を追求するべく、透明性を持って、引き続き科学的根拠に基づく正確な情報の提供に努めていきます。

Q7 日本政府は他の処分方法を十分に検討せず、経済性を理由に海洋放出を選択したのではないか。

(答)

ALPS処理水については、これまで風評への影響などを勘案し、タンクでの保管を継続してきました。しかし、タンクが既に1000基を超え、周辺地域の安全に不可欠な廃炉作業を着実に進める上で支障が生じることに加え、タンクの存在そのものが風評に繋がることや地震による漏洩のリスク等を懸念する声もあることを踏まえ、現状を見直す必要がありました。


ALPS処理水の取扱いについては、海洋放出以外の処分方法等も含め、6年以上の時間をかけて専門家による検討を行い、ALPS小委員会が次のような検討結果を公表しました。

① 水蒸気放出については、日本国外の事故炉で実際に行われた前例があるものの、放射性物質の放出後の拡散について事前予測が困難で、モニタリング等の対策の検討に課題があること、

② 地層注入、水素放出、地下埋設については、いまだ技術的に確立していないなどの課題があること、

③ タンク保管の継続については、東京電力福島第一原発でのタンク増設は限定的であり、保管の長期化は廃炉作業の妨げとなること


今回、処分方法として海洋放出を選択した理由は、こうした検討の結果、各国の放射線防護基準において広く参照されている国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に沿って従来から定められている規制基準を厳格に遵守することを前提に、国内外で放出実績がある点やモニタリング等を確実かつ安定的に実施可能な点を評価したためです。


海洋放出は、これまで各国の原子力発電所で実施した前例や実績があり、技術的な不確実性が少なく、放出設備の取扱いや放出後のモニタリングが比較的容易であることから、処分に当たって前提となる周辺環境の安全性を確保しながら実施することができます。基本方針の発表を受けて、グロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長が声明を発出し、我が国の発表を歓迎するとともに、(1)海洋放出は技術的に実現可能であり、国際慣行にも沿っている、(2)管理された海洋放出は世界の原子力発電所の運用国で日常的に行われている、さらに(3)日本の要請に応じて、IAEAは日本の計画の安全性と透明性をレビューする技術的支援を提供可能である旨発言しています。

Q8 日本は、ALPS処理水の処分方法に関して、韓国と、十分に意思の疎通を図ってこなかったのではないか。

(答)

日本政府は、ALPS処理水やその取扱いの検討状況を含め、東京電力福島第一原発事故について、韓国の皆様に対し、韓国の報道機関を対象にした説明会の開催を始め、様々な機会を通じて説明してまいりました。


(補足)日本政府が説明した機会についての具体例

① 韓国の報道機関を対象にした記者説明会の開催(2020年11月20日、 2021年3月3日及び4日)

② 韓国で開催した東日本大震災10周年記念式典(2021年3月11日)や展示会(同11日~18日)

③ 韓国の水産業団体など関係者への個別の説明

④ 在韓国日本大使館や日本政府のホームページ上での積極的な情報発信

⑤ 韓国のマスコミを東京電力福島第一原発等に招待し取材の機会を提供した日韓記者交流事業の実施

⑥ 東京における外交団向け説明会の開催

⑦ 東京電力福島第一原発の環境モニタリングに関する原則毎月1回の定例外交団通報の実施

⑧ 国際原子力機関(IAEA)や経済開発協力機構・原子力機関(OECD/NEA)を始めとする様々な国際会議での説明


特に、韓国政府とは、ソウル及び東京で過去2年半において延べ100回を超える意見交換、データの提供、累次の質問状への回答など、頻繁に意思疎通を行ってきました。さらに、基本方針の発表に先立ち、また、発表に際しても、日本政府は、韓国政府との間でしかるべくやり取りを行いました。これは、韓国との地理的近接性、韓国国民の懸念、二国間関係の重要性等に鑑み、本件について、これまで日韓両政府が互いに努力して築いてきた信頼関係に基づき実施したものです。


日本政府は、今後とも、韓国政府との意思疎通を含め、高い透明性をもって、科学的根拠に基づく正確な情報の提供を続けていく考えです。

Q9 日本政府は、韓国政府と協議をしておらず、質問にも十分に答えていないのではないか。

(答)

日本政府は、4月13日に基本方針を発表する前から、韓国をはじめとする国際社会に対し、最大限の透明性をもって、積極的に情報提供に取り組んできました。


韓国政府とは、東京及びソウルにおいて、過去2年半において延べ100回を超える意見交換、データの提供、累次の質問状への回答など、頻繁に意思疎通を行ってきました。


日本は、基本方針の検討過程においても、韓国に対してできる限り情報提供を行ってきました。韓国国務調整室が主宰する政府合同TFでも、韓国の専門家から韓国への影響について意見を聴取したと承知していますが、日本から提供する情報は、韓国の専門家が事前の分析をする上で活用されたと考えています。


今回、基本方針では、処分方法を海洋放出と決定したのみであり、今、韓国政府が要求している詳細な計画の内容については、今後、東京電力が作成し、原子力規制委員会の厳格な審査を受ける必要があります。東京電力の提出した計画や審査のプロセスについては随時公開される予定です。


また、基本方針に明記しているとおり、関連する国際法や国際慣行を踏まえ、海洋環境に及ぼす潜在的な影響について評価するための措置を採るとともに、放出後にも、これまで実施してきた国際原子力機関(IAEA)との協力や海域モニタリングを継続的に実施し環境中の状況を把握するための措置を講じます。こうした情報についても順次公開していく考えです。

Q10 韓国は、日本から海洋放出の状況について情報提供を得られるのか。

(答)

日本は、韓国に対して、今後とも、高い透明性をもって、科学的根拠に基づく正確な情報提供を続けていきます。タンク内の水の現状、貯蔵量及び放射能濃度は、常に最新の状況が東京電力のウェブサイト(※)に公開されています。今後提出予定の実施計画は全て公開し、原子力規制委員会の審査は公開の会合で行います。さらに、放出前後の海洋モニタリングの結果も全て公表します。

東京電力特設ページ(英語)


加えて、韓国政府や報道関係者に対し、処理水の処分状況の説明を継続するほか、月ごとの海洋放出の実施内容等を提供いたします。


また、IAEAと協力し、処理水処分のレビューミッション、海洋モニタリングレビュー等を実施して、国際社会から、日本の取組状況の検証を受けられるようにします。

Q11 国際原子力機関(IAEA)による海洋放出の安全性確保の取組に韓国の専門家は参加できるのか?

(答)

日本政府は、海洋放出の前・中・後において、IAEAと以下3点について多面的な協力を行うこととしています。

① レビューミッションの派遣

② 海洋モニタリングの支援

③ 国際社会に対する透明性の確保


その際、IAEAは、国際的に認知された専門家のグループから専門的な助言を受けるとされており、IAEAが、加盟国から原子力安全に知見を有する専門家を選定しているものと承知しています。


我が国としては、専門家による科学的見地からの関与を歓迎します。

(関連サイト)IAEAホームページ(英語)

Q12 国際社会は海洋放出に反対しているのではないか。

(答)

処理水の海洋放出にあたっては、関係国や国際機関とも、しかるべく連携し、高い透明性をもって、科学的な根拠に基づく正確な情報の提供を続けてまいります。


日本は東京電力福島第一原発の廃炉に向けた日本の取組について、原子力分野の専門的な国際機関であるIAEAの調査団によるレビューをこれまで4回受け入れるなど、日本政府はIAEAと緊密に連携しています。


2021年4月のALPS処理水の処分に関する基本方針発表後にも、グロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長が声明を発出し、我が国の発表を歓迎するとともに、

(1)海洋放出は技術的に実現可能であり、国際慣行にも沿っている、

(2)管理された海洋放出は世界の原子力発電所の運用国で日常的に行われている、さらに

(3)日本の要請に応じて、IAEAは日本の計画の安全性と透明性をレビューする技術的支援を提供可能である旨発言しています。


また、米国国務省も「日本は、選択肢と影響を比較検討し、決定にあたり透明性を確保しつつ、国際的に容認されている原子力安全基準に合致する処分方法を選択」との声明を発出しています。このほか、豪州やインドネシアの当局も、ALPS処理水の海洋放出に理解を示しています。


いくつかの国・地域から本件について懸念の声があることは承知しております。日本政府は、今後とも国際機関等とも連携しつつ、高い透明性をもって、科学的根拠に基づく正確な情報の提供を続けていくことで国際社会の理解を得られるよう、努めていきます。

Q13 ALPS処理水には、三重水素以外にも通常炉の排水からは検出されない核種(セシウム、ストロンチウム等)や、ALPSでは除去できない炭素14が含まれるため、危険ではないのか。特別な扱いとすべきではないか。

(答)

東京電力福島第一原発に貯蔵されている水は、溶融した核燃料に直接触れていた水をALPSで処理したものであることから、核燃料の核分裂で生じた核種を一定量含んでいます。


通常炉と事故炉の排水中の核種が異なることを懸念する声もあると承知していますが、日本を含む世界各国の原子力安全規制当局は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に沿って、人体への放射性物質ごとの放射線の影響を勘案しつつ、全ての放射性物質からの被ばく線量の合計値(実効線量)が年間1ミリシーベルト未満となるように基準値を定めて、人体や環境への安全を確保しています。


ALPS処理水を環境中に放出する際には、三重水素以外の放射性物質を、規制基準濃度を下回るまで浄化処理した上で、更に三重水素についても規制基準を大幅に下回る水準となるよう、100倍以上に希釈することとしています。


炭素14を海洋放出する場合にも、他の放射性核種と同様に、確立された国際的な基準を踏まえて定める規制を始め、各種法令等を厳格に遵守します。また、そもそも、貯蔵タンク内のALPS処理水に含まれる炭素14の量は、平均42.5ベクレル/リットル※1であり、国の規制基準である2,000ベクレル/リットルに対して概ね40分の1を下回っています。海洋放出する場合には改めて濃度を測定し、基準値を下回っていることを再度確認します。その上で、更に100倍以上に希釈することとしています。なお、炭素14も、自然界に存在する放射性物質であり、韓国の原発からも環境基準を遵守しつつ放出されている※2と承知しています。

※1 最大値は、215ベクレル/リットル

※2 韓国水力原子力「原子力発電所周辺環境放射能調査及び評価報告書(2019年度)」


【参考】ALPS処理水と再処理施設の排水に含まれる放射性物質について

● ALPS処理水に含まれる核種は、以下の3種類。

A)三重水素(通常炉の排水にも存在)

B)核燃料以外の中性子による放射化等により生じる核種(コバルト60など)。通常炉や再処理施設の排水にも存在。炭素14は、再処理工場や、韓国の月城原発の排水にも存在。

C)核燃料が分裂して生じる核種(セシウム、ストロンチウム、ヨウ素など)。再処理施設の排水にも存在。なお、通常炉では極微量又は不検出。

Q14 ALPSで処理したと言っても、そのタンクに貯蔵される7割は高濃度汚染水であり、未だ再浄化されていない。ALPSには十分な処理能力がないのではないか。

(答)

現在タンクに保管されている水の約7割には、放射性物質が環境中へ放出する際の基準を超える濃度で含まれていますが、これは、

① ALPSの運用開始初期である2013年度は性能向上前のため、排水の基準値を超えるものがあったこと、また、

② 作業員の被ばく線量を下げ、安全を確保するため、東京電力は、処理量を増やすことで、タンクに貯蔵されていた高濃度汚染水の影響を低減し、敷地境界における被ばく線量の規制基準を守ることを優先したため、生じたものです。


4月13日に公表された基本方針に示すとおり、公衆や周辺環境の安全を確保するため、ALPS処理水の海洋放出は、東京電力が国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に沿って定められている規制基準を厳格に遵守するとの前提の下、国際慣行に沿った形で実施します。


こうしたタンクに保管されている水のうち、三重水素以外の放射性物質が環境中へ放出する際の基準を超える濃度で含まれているものについては、実際の放出の前には、三重水素を除く核種が規制基準値を確実に下回っていることが確認できるまで何度でも浄化処理を行い、その上で、更に100倍以上に希釈して放出することとなります。


なお、ALPSの性能については、東京電力が、三重水素以外の放射性物質の濃度が環境中へ放出する際の基準を超えてタンクに保管されている水に対する、再浄化の性能試験を2020年9月から実施しました。2020年12月24日に公表した試験結果では再浄化後において、三重水素を除く放射性核種の濃度が環境放出に係る規制基準値未満に抑えられていることが確認されています。

(参考)詳細な内容はこちらをご覧ください。(英語)


また、2018年9月以降2021年7月までに汚染水を新たに浄化処理したものは、三重水素を除く核種について規制基準を確実に下回っていることが確認されています。


これらの結果から、ALPSが三重水素以外の規制基準を超える放射性核種の濃度を規制基準未満まで低減させる能力を有していることを示しています。

4.食品安全に関する疑問

Q15 日本政府は人が食べ物を摂取したことで、間接的にトリチウムに被ばくするリスクを評価したことがあるか。

(答)

2020年2月10日に公表されたALPS小委員会の報告書においては、水蒸気放出及び海洋放出について、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の手法を用いて放射線影響評価を行った結果、年間放出量を東電福島第一原発に保管しているトリチウム量に相当する860兆ベクレルとして海洋放出する場合の影響は、日本における自然放射線による影響(2.1mSv/年)の1000分の1以下になるとされています。このUNSCEARの手法は、海洋生物の摂取を通じたトリチウムによる内部被ばくも考慮したものです。評価方法の詳細は、ALPS小委員会の会議資料として公開されています(※1)。


※1 第16回ALPS小委員会 資料2, 第17回ALPS小委員会 資料3-2


また、トリチウムは魚介類の体内に入っても蓄積されず、水と一緒に排出されます。IAEAの報告書においても、トリチウムの濃縮係数は1とされています(※2)。


※2 濃縮係数とは、海産生物が一定の濃度の海水に長期間置かれた場合の、海産生物中の濃度と海水中の濃度の比率を表したもので、放射性物質の海産生物への蓄積の度合いを示しています。なお、セシウムの濃縮係数は、植物プランクトンは10、魚は100、イルカは300であり、植物プランクトンより魚、魚よりは魚を捕食する大型哺乳類のほうが高いことが分かります。


なお、本年4月のALPS処理水の処分方針の決定後、米国の食品医薬品局からは、「海洋放出が、①日本から輸入される食品や、②米国の沿岸で漁獲される海産物を含む米国の国産食品の安全性に与える影響はないと考える。」との評価がなされています。

Q16 今後は食品に対し、セシウム以外の核種(トリチウムを含めて)の既存規制を修正、あるいは新たに法規制を定めることで、安全基準を設ける計画があるのか。

(答)

ALPS処理水の海洋放出に当たっては、ALPS処理水に含まれる全ての放射性物質について確実に浄化・希釈を行い、国際的な基準に沿った規制基準を厳格に遵守することで、現在と同様、農林水産品等について安全を確保していく考えであり、新たな安全基準を設ける計画はございません。

Q17 日本政府には、福島第一原子力発電所周辺海域の水産動物に対するトリチウムによる影響に関する研究報告或いはモニタリング資料はあるか。

(答)

2020年の2月10日に公表されたALPS小委員会の報告書においては、年間放出量を東電福島第一原発に保管しているトリチウム量に相当する860兆ベクレルとして海洋放出する場合の影響は、海洋生物の摂取を通じたトリチウムによる内部被ばくも含め、日本における自然放射線による影響(2.1mSv/年)の1000分の1以下になるとされています。


海洋環境に及ぼす潜在的な影響についても、評価するための措置を採った上で、随時公表する予定です。


また、基本方針に記載のあるとおり、新たにトリチウムに関するモニタリングを漁場や海水浴場等で実施するなど、日本政府及び東京電力は放出前及び放出後におけるモニタリングを強化・拡充します。


その際、A)IAEAの協力を得て、分析機関間の相互比較を行うなどにより、分析能力の信頼性を確保すること、B)東京電力が実施するモニタリングのための試料採取、検査等に農林水産業者や地元自治体関係者等が参加すること、C)海洋環境の専門家等による新たな会議を立ち上げ、海域モニタリングの実施状況について確認・助言を行うこと等により、客観性・透明性を最大限高めていきます。


日本政府が実施するモニタリングは、現在、モニタリング調整会議で具体的な検討を進めています。また、モニタリングの結果等については、ウェブサイト上で公開していく予定です。なお、福島第一原子力発電所に焦点を当てたものではありませんが、日本政府は同発電所を含む全国の主な原子力施設の周辺海域の海産生物に含まれるトリチウムの分析を行っています。令和2年度の調査結果では、組織自由水型トリチウムの放射能濃度は事故前の放射能濃度と同程度、有機結合型トリチウムの放射能濃度は全て検出限界値未満でした。これらの調査結果は原子力規制委員会HPで公開されています(※)。


※:海洋環境における放射能調査及び総合評価

Q1 東京電力福島第一原発事故後の経過及び対策を教えてほしい。

(回答)

東日本大震災が発生した当時、東京電力福島第一原子力発電所の1号機から6号機のうち、1号機から3号機は原子炉を「冷やす」機能が損なわれ、1号機・3号機の建物と、3号機からつながっていた4号機の建物が水素ガスによると思われる爆発により破損しましたが、現在は原子炉を水で冷やす仕組みが作り出され、原子炉は安定した状態で維持されています


また、廃炉に向けて、使用済燃料の取り出し作業や溶けて固まった燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けた調査等が安全最優先で慎重に進められています。さらに、海側には地下水を汲み上げる装置や鋼鉄製の遮水壁を設けており、海洋への汚染を防止しています。


現在の発電所の状況を含む廃炉・汚染水対策の詳細については、経済産業省のホームページ(日本語英語)も併せて参考にしてください。

Q2 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の状況が知りたい。

(回答)

東京電力福島第一原子力発電所では廃炉作業が行われており、現在、使用済燃料の取り出し作業や溶けて固まった燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けた調査等が、安全最優先で慎重に進められているところです。格納容器の内部は、鋼鉄製の格納容器の壁、建屋内のコンクリートや鉛板などにより遮へいされています。安定状態は、引き続き維持されており、東京電力福島第一原子力発電所の敷地境界の放射線量に有意な変動はありません

Q3 東京電力福島第一原発事故後の発電所から汚染水が流出していて、海が汚染されているのではないか?

(回答)

燃料デブリを冷やした水は、放射性物質が含まれた状態で、建屋内にたまっています。また、建屋内の汚染水が建屋外部へ漏洩しないよう、建屋内の水位は常に周辺の地下水位より低く管理されているとともに、鋼鉄製の遮水壁の設置により、放射性物質を含む地下水が海へ流出するのを防止しています。一連の対策の結果、周辺海域の放射性物質濃度は低く、安定しています。国際原子力機関(IAEA)からも、「世界保健機関(WHO)の飲料水ガイドラインの範囲内にあり、公衆の安全は確保されている」との評価を受けています。

汚染水の発生を防ぐ仕組み
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた対応

Q1 東京電力福島第一原発事故の影響で、日本への旅行は危険ではないか?

(回答)

日本政府は、東京電力福島第一原発の事故以降、継続的に空間線量率のモニタリングを実施しています。日本国内各地の空間線量率は、生活する上で何ら問題のないレベルであり、海外の主要都市と比較しても同等の水準です


東京電力福島第一原発に距離が近く立入りが制限されている区域を除き、福島県を含め、日本全国における東京電力福島第一原発事故に起因する放射線量は、健康への影響が懸念される水準を大幅に下回っています


在韓国日本大使館のホームページ(日本語韓国語)では、福島県の県庁所在地である福島市と、いわき市、更に東京都とソウル市の空間線量率を、大使館休館日等を除き、毎日更新しています。

日本への渡航

Q2 空間線量率とは何か?

(回答)

空間線量率とは、大気等の空間中から測定された放射線量をいい、1時間当たりのマイクロシーベルトで示されます。空間線量率は、モニタリングポストと呼ばれる装置を用いて、継続的に同一地点で測定されています。モニタリングポストの検出器は、一般的な成人の全身の評価に用いるため、通常地上1mくらいの高さに設置され、空気中に漂っている放射性物質からのγ線、大地に落ちた放射性物質からのγ線を検出しています。なお、計測されるのは事故由来の放射線量のみならず、自然由来の放射性物質からのγ線や宇宙からのγ線も含まれています。なお、空間線量率は、主に人体の外部被曝線量の評価のため一般的に活用されているものであり、人体の内部への取込みについては、食品の検査等を通じて健康に影響が及ぼすことがないよう、対策を講じています。

Q3 在韓国日本大使館がホームページに掲載している空間線量率は、日本政府にとって都合の良い数値となる地点のデータに限定しているのではないか?

(回答)

在韓国日本大使館のホームページ(日本語韓国語)では、福島県県庁所在地である福島市、東京電力福島第一原子力発電所近辺の自治体のうち最も人口が多いいわき市、さらに、東京都、ソウル市の空間線量率を掲載しています


日本国内のその他の地点の空間線量率については、原子力規制委員会のホームページ(日本語英語)で閲覧することができます。

Q4 日本国内において、放射性物質による健康被害の危険性がある区域はどこなのか?

(回答)

東京電力福島第一原発事故の発生に伴い、日本政府は現在、平成23年時点で年間積算線量が50ミリシーベルト超(注)の区域の境界に、バリケードを設置する等して当該区域への立入りを制限しており、また、当該区域につながる道路等に標識を置いて誤って立ち入ることがないようにしています。


(注)100ミリシーベルト以下の被ばく線量では、被ばくによる発がんリスクは生活環境中の他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいということが、国際放射線防護委員会(ICRP)を始めとする国際的な認識となっています。

福島県の立入り制限区域
日本への渡航

Q5 日本政府は、空間線量率等が低いから安全だというが、低い場所でのみ測定しているのではないか?

(回答)

モニタリングポストによる定点測定や、航空機による広域測定のほか、測定員が、生活環境を歩き測定する歩行サーベイや、自動車で測定する走行サーベイ等を組み合わせて、きめ細かな調査をしています。その結果は、原子力規制委員会のホームページ(日本語英語)で公開しています。

Q6 空間線量率のデータは、大気中に現れる放射線のみ測定するものであるが、食品安全にも直結する土壌の安全性についてはどのように確かめているか?

(回答)

農地土壌中の放射性物質による汚染の状況については、農林水産省が、平成23年8月以降、毎年、福島県における農地土壌中の放射性セシウム分布図を作成し、農林水産省のホームページ日本語で公開しています。この農地土壌濃度分布図は、農作物中の放射性物質の低減対策などに活用されています。今後も、農地土壌の放射性セシウム濃度の推移を把握するため、積極的に調査を進めていきます。

Q7 「東京電力福島第一原発事故後、放射性物質の影響による死亡者やがん患者の発生数は把握さえ不可能な状況」、「東京電力福島第一原発事故により1300人以上が死亡」、「福島県では、チェルノブイリ原発事故と同じように小児甲状腺がんの発生率が非常に高い」などという話を聞いたが、本当か?

(回答)

福島県が実施した県民健康調査「基本調査」(日本語)の結果によれば、東京電力福島第一原発事故による外部被ばく線量は、「統計的有意差をもって確認できるほどの健康影響が認められるレベルではない」とされています。また、県民健康調査「甲状腺検査」の結果、これまでに発見された甲状腺がんについても、現時点では放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がされています。


また、環境省で実施している福島県内外での疾病罹患動向に関する調査研究の結果、がん全体の罹患率、死亡率は、事故の前後においてこれまでのところ大きな変化は認められていません


さらに、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)では、2013年報告書及び2016年白書にて「線量が大幅に低いため、福島県でチェルノブイリ原発事故の時のように多数の放射線誘発性甲状腺がんが発生するというように考える必要はない(2013年報告書)」、「福島県の県民健康調査で既に観察されていた相当量の症例は、放射線の影響ではなく、集団検診の感度による可能性が高い(2016年白書:2013年報告書の要約)」などと評価されています。また、2016年白書においては、「2013 年報告書の当該分野における知見は引き続き有効であり、それ以降に発表された新規情報の影響をほとんど受けていない」と評価されています。

食品の安全と放射能の影響については、韓国語のパンフレットもありますので消費者庁のホームページ(日本語・英語・韓国語版あり)を御覧ください。

Q1 食品の安全のためにどのような取組を行っているのか?

(回答)

東京電力福島第一原発の事故後、放射性物質の影響が確認された地域については、農地の除染、放射性物質の農畜産物への移行・吸収を抑える対策、肥料や土壌改良資材・培土の管理等が行われています。また、出荷前の検査等で、日本国内の放射性物質の基準値を超過したものは、日本国内及び海外には流通しません。さらに、基準値の超過する食品が地域的な広がりがあると考えられた場合には「出荷制限」が、著しく高濃度の放射性物質が検出された場合には「摂取制限」が指示されます。これらの対策により、日本産食品の安全性は確保されています。


また、食品中の放射性物質の基準値は、国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が設置した国際食品規格委員会(Codex委員会)が国際基準としてのガイドラインレベルを設定し、また、米国・EUを含む各国が国内の基準値を設定しています。これらの基準は、食品を摂取することによる預託実効線量(いわゆる内部被曝)を一定水準以下に抑えるために設定されています。Codex委員会、日本、EU等の場合は1 mSv/年ですが、これは、国際放射線防護委員会(ICRP)がそれ以上放射線防護対策を講じても有意な線量の低減は達成できないとしている値でもあります。これに基づき、それぞれの国・地域で流通する食品の汚染率等を想定した上で、最終的に放射性物質の基準値を設定しています。

Q2 日本の食品で基準値を超えるものはなかったのか?

(回答)

現在、日本国内では、流通を目的とした食品だけでなく、既に出荷制限措置が講じられている食品も含め、放射性セシウムのモニタリング検査を実施しております。その結果によれば、過去5年以上、栽培・飼養管理が可能な農林水産物・食品で基準値を上回るものはほとんどありません。栽培・飼養管理ができない野生のキノコ、山菜、野生の鳥獣肉、水産物の中でも淡水魚などは、少数ながら日本国内の基準値を上回る検体がありますが、こうした食品は既に出荷制限措置が講じられているため、日本国内で流通することはなく、輸出されることもありません。

Q3 国際機関は、日本の食品の安全性をどう評価しているのか?

(回答)

日本が行っている適切な検査・管理措置によって日本産食品の安全性が確保されていることは、国際機関からも評価されています。国連食糧農業機関(FAO)と国際原子力機関(IAEA)の合同チームは、2019年7月に、「モニタリング方法や食品の放射性物質汚染に関する問題への対応は適切であり、フードサプライチェーンは関係当局により、効果的にコントロールされているものと理解している。」と報告され、IAEAのホームページ(英語)に公開されています。

Q4 諸外国は日本の食品を輸入しているのか?

(回答)

東京電力福島第一原発事故に起因する何らかの輸入規制を維持しているのは、世界中で20か国・地域のみであり、またそのほとんどは輸入停止措置ではなく、限定的な地域・品目について証明書添付等を求めることにより輸入を認めています。事故後に輸入規制を導入した国・地域のうち、大半(54か国・地域中34か国・地域)が現在までに輸入規制を撤廃し、ほぼ全ての国・地域が順次緩和を行っています。日本が行っている科学的根拠に基づく適切な検査・管理措置によって日本産食品の安全性が確保されていることは、国際的に理解されてきています


そうした中、韓国では輸入規制として、大きく3つの措置が講じられています。

① 8県(注)の全ての水産物及び過去に出荷制限措置がとられた地域・品目等について輸入禁止

(注)青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬及び千葉

② 指定された地域・品目について放射性物質検査証明書や産地証明書の要求

③ 日本産食品に対する韓国側での検査の実施と追加的な証明書の要求※

※ 日本産食品に対する韓国側での検査の実施により放射性セシウム又は放射性ヨウ素が微量でも検出された場合(>0.5 Bq/kg)には、ストロンチウムやプルトニウム等17核種の放射性物質検査証明書を要求されます。


上記の韓国による日本産食品に対する輸入規制措置は、科学的根拠に基づくものではなく、日本政府はこうした輸入規制措置を早急に撤廃することを求めています。

Q5 日本から輸入された食品から人工の放射性核種が検出されたと聞いたが、やはり危険ではないか?

(回答)

天然に存在する放射性核種(例:40K、3H(三重水素、トリチウム)、14C等※)に対し、核実験や原子力発電などに起因する放射性核種は一般的に人工放射性核種と呼ばれ、例としては134Cs、137Cs、90Sr、106Ru等が挙げられます。天然の放射性核種も様々な食品に含まれ、一般の人々は内部被曝をしており、放射性核種が天然か人工かという分類自体は、食品中の放射性物質の健康への影響には関係がありません。


※ 3H(三重水素、トリチウム)や14Cについては、大気上層において宇宙からの放射線と大気を構成している窒素や酸素との核反応により常に生成されているため、天然放射性核種に分類されることが多い。食品中の放射性物質に係る安全性確保のため、Codex委員会が国際基準としてのガイドラインレベルを設定し、また、米国・EUを含む各国が国内の基準値を設定しています。これらの基準は、食品を摂取することによる預託実効線量(いわゆる内部被曝)を一定水準以下(Codex委員会、日本、EU等の場合、1 mSv/年未満。)に抑えるために設定されています。これに基づき、それぞれの国・地域で流通する食品の汚染率等を想定した上で、最終的に放射性物質の基準値を設定しています。

食品の安全

食品から人工放射性核種が検出されたとしても、上記基準値の範囲内であれば、科学的には安全であると評価されます。実際、1960年代までの大気圏内核実験の影響により、世界中に人工放射性核種が拡散し、その汚染が生じており(グローバルフォールアウト)、日本以外の国から韓国に輸入された食品からも微量の人工放射性核種は検出されています。しかし、食品中の放射性核種が上記基準の範囲内であれば、世界中で問題なく流通・消費されています。日本から韓国に輸入された食品のうち、2015年以降、韓国の基準を超過したものはなく、その安全性が確認されています。

Q6 韓国の日本産水産物等への輸入規制は、2019年4月にWTO上級委員会報告書でも認められたものであり、日本が韓国に輸入規制撤廃を求めるのは不適切ではないか?

(回答)

WTO上級委員会に先立つパネル(第一審)の審査では、日本の食品安全管理に係る取組により、日本産食品中のセシウム濃度が、国際的な基準(1年間当たりの預託実効線量を1mSv(ミリシーベルト)/年と設定。詳細はQ1参照。)を踏まえて韓国が設定した数値基準値(日本が設定する基準値と同様に、食品1kg当たりの放射性セシウム濃度の基準値を100Bq(ベクレル)/kgと設定。Q1及びQ5参照。)を下回ることを日本が立証した事実認定されました。その上で、韓国の輸入規制措置は、「必要以上に貿易制限的」であり、「恣意的又は不当な差別」に当たり、WTO違反であると認定されました


韓国は、この第一審の判断を不服として上級委員会(最終審)に申立てを行いました。上級委員会は、法的分析が不十分であるとして、パネルの判断を取り消したものの、韓国の輸入規制措置のWTO協定適合法性については明確な判断をしませんでした。したがって、日本産食品中の安全性に関するパネルの事実認定はそのまま確定しています

この上級委員会の判断については、米国から遺憾の意が表明され、日本産水産物が安全でないと結論付けることは不適切である旨の立場表明がなされたほか、10を上回る加盟国が、日本の立場や問題意識に対する支持・理解を表明しています。